脳出血でも加入できる保険

脳出血を含む「脳卒中」という病は、世間一般では大病という認識です。そのため、一度脳卒中になった人は、民間の医療保険や生命保険には2度と入れないと思い込んでいる人も多いです。しかし、実は脳卒中になったことのある人でも、時間が経っていれば保険に加入できる場合があります(全ての保険ではありませんが)。

医療保険に申し込む時の告知書では、脳出血は必ず記載が必要ですが、その条件が「過去2年の間に」等というように、一定の期間に遡った病歴として尋ねられます。その期間より前の経験だと、告知書の病歴では「いいえ」に○を出来ることになり、他の条件も満たしていれば、保険に加入できるわけです。

これらの保険は「引受基準緩和型」などと呼ばれるタイプです。例えば、徳光和夫氏のテレビCM等で有名なアフラックの「EVER(エバー)」 という保険では、脳卒中の入院歴は過去2年、医師の診断・治療歴は過去5年以内、などと告知書の条件には期限が付いています。オリックス生命の医療保険「CURE Support(キュアサポート)」や東京海上日動の生命保険「メディカルキットラヴ」など、似たような保険は他社にもあり、どれも告知書には期限が付いています(条件は各社大体同じ)。

但し、これらの保険に加入することが、脳出血経験者にとってベストな選択かどうかはまた別問題です。その理由は、病歴の全く無い人と比べて保険料が割高に設定されているからです。その証拠に、例えば明治安田生命 の「かんたん告知医療保険」のHPでは『保険料は当社が取り扱っている通常の医療保険に比べて割増しされています』と正直に書かれています。

そもそも生命保険や医療保険は、加入者にとって割りの悪い商品です。掛け金の大体半分は保険会社の利益として消え、残りを不幸が起きた加入者に分配するという設計です。病歴のある人でも入れる「引受基準緩和型」となれば、更に割りの悪い商品になります。

ちなみに大病とされている脳出血でも、治療の大半は健康保険の適用があり、入院にさほどお金はかかりません。私の場合、入院時の明細を見ると『入院等、医管等、投薬、リハビリ』など、自分の意志で希望した個室代(差額ベッド代)以外は、全て保険診療でした。その料金は、2週間の入院で約15万円ほどでした。手術をしていればもう少し高くなると思いますが、その場合も健康保険の「自己負担限度額」が適用されるので、さほど問題にならないでしょう。保険治療には自己負担限度額があり、中位所得者なら月額8万円程度が医療費の上限になり、それ以上は不要です。

月8万円程度が上限だと考えれば、ほとんどの人が貯蓄で備えられるはずです。従って脳出血に備えて医療保険に加入する必要性は薄いといえるでしょう。

どうしても保険に入りたいという人は、健康なうちから加入しておくしかありません。いざ脳出血などの大病になってからだと、(概ね5年以上経たないと)保険加入できなくなる訳です。保険というのは、健康体で「保険など必要ない!」という人だけが加入できるという、矛盾に満ちた商品です。